国内盤と輸入盤 と グレン・グールド

 先日親戚から貰ったレコードの中に
バックハウスのベートーベンソナタ全集で、これが入っていました。
その下は数年前カナダのトロントに住む友人がレコードのコレクターで
欲しいのがあったら一つ何でもやる、と言うので
レコード棚の中から選んだのが下のバックハウスのベートーベンで、
1970年アメリカ盤です。

 内容は同じで10枚組です。

 オークションなどでは国内版と輸入盤は区別されていて
輸入盤が高い値段がついていますので
関税の問題だけではなくやはり音が違うのかな・・と漠然と思っていただけでした。
私のレコードの大半はアメリカやカナダで買ったものですので
そういう事からしても違いがあったからといって・・・という考えで気に留めた事は
ありませんでした。

そこで今回手放す前に聞き比べてみました。
少し違いました。
私の耳、感じ方と再生装置に限ってですが
国内版は音がソフトでアメリカ版はメリハリがはっきりしている、という事です。
国内版のプレスの時代は確認しないままでした。

どっちを手放すかと考えると、迷わず上の国内版でした。
ただ、二つを並べて比較しなければ その違はわからないかも知れません。
装置によっても違いますが、
先生の装置の場合は違いが出る可能性はあると思います。
たまに神保町古書センターの富士レコードで見かける事はあります。
もし輸入盤があったら迷わずそちらを選んだらいいと思います。


 






  
フランス盤とかアメリカ盤、オランダ、イギリス、と
同じマスターでしょうがプレスする盤質で違いはあるみたいですね。


 




      32 Southwood Drive, Toronto   グールドが生まれて育った家です。
 今は全く血縁関係の無い人が住んでいましたが・・。

ここを案内してくれた友人は やはりグールドのフアンで
彼の訃報にショックを受けて
数日は食事が喉を通らなかったと話しました。
グールドのDVDやレコード、本は新しいものを見つける度に
彼が送ってくれました。

トロントに住む彼らにとって
グールドは誇りで、憧れで、英雄だったと話しました。
友人の息子はグールドが通った中学校が同じだと誇らしげに案内してくれました。
異端児が英雄と賞賛され受け入れられるトロントで、カナダなんですね。

彼はヨーロッパの何処かではなく新大陸カナダのトロントという地に生まれ育ったのは
幸運だったと言えると思います。トロントという街が彼を育てたと、彼も本の何処かに
そのような事に触れていました。そしてトロントをこよなく愛していたとも。