「夜のガスパール」ラベル とカルロス・カスタネダ


「夜のガスパール」はマルタアルゲリッチのものだけです。
(他はYouTubeで聴いています)。
そもそも私にとっては難解な部類です。どちらかといえば楽しんで聴くというよりも
解ろうと良く聞いています。
1800年代のフランスの詩人ベルトランの散文詩の中から
1900年代になってラベルが3つの詩を表題に取り上げたものですが
まず元になっている詩そのものがシュールで私には難解です。
詩(歌詞があるわけではありません、引用したガスパールの詩)のイメージからは
デ・キリコの絵が頭に浮かびます。
後にシュールレアリズムの人たちに影響を与えたらしいですので
うなずける話です。
1・・・ガラス窓の滴に妖精がいて私に湖に行って暮らそう・・・と誘いかける
  死が待っていようと普通の女性がいい、と断ると 去っていく・・
2・・・・夕日に照らされ絞首台に吊らされた死体に虫たちがたかっていて
   鐘楼の鐘の音が・・・
・・・などとありますから 曲にしても現代音楽風というか・・
ベルトランはレンブラントなどの絵にインスピレーションを得たとあります。
科学(万能とは思いませんが)が発達していない時代
霊が重んぜられ人の心を支配するウエイトが大きかった時代が背景にあるので
馴染めない点もありますが・・・・。
あくまで芸術でフィクッションの世界なので難しくは考えていません。

私には
70年代のカルロス・カスタネダにも通ずるところがあるように思えます。
・・カルロス・カスタネダと結びつけたのは私の個人的なインスピレーションです。

日本では二見書房から出された翻訳本で右が原書(1980年ロスの本屋)です。
訳者は眞鍋義博氏。 原書の表題の訳は「分離したリアリィティ・・呪術の体験」です。
「気流の鳴る音」は関連書です。8冊。
関心がおありなら
現在書店にあるかは解りませんがアメリカのアマゾンで検索すればいいと思います。
ベルトランとカスタネダは霊的なインスピレーションという点では通じています。
音楽や絵画、文学は時代の流れに影響されたり与えたりするようで、
その時代を経験していないと解り難いことも少なくないですが・・・。
ベルトランも60年代アメリカの西海岸に生きていたら高い評価を受けただろうと思います。
実際は1841年に34歳で出版した詩集も殆んど売れず貧困の中で亡くなっています。
日本語への翻訳本は複数でていますが、当初のものでは・・「水の精」を「河童」と訳しているのですから内容を理解しにくかったのは無理からぬことで・・・・
想像してみてください・・・メスの河童が目の前に現れて湖の中で一緒に暮らそうよと
誘われた場合と、水の妖精が・・・。との違いを。

ラベル、詩人ルイ・ベルトラン、で・キリコ、カルロス・カスタネダ と無理やり結びましたが・・・

ガスパールは聖書に登場するキリストの誕生を予言した東方三賢人の1人に由来するようですが
説も色々でどうも分かりにくいです。
夜の暗闇に精霊が現れるとは ランプや蝋燭の明かりだけが照らす時代の物語だけに
今の時代ではイメージし難いですが・・。
暗闇を恐れたり、想像を膨らませたりしたようで・・そういう時代ですから・・。
レンブラントに描かれた光と闇の世界の闇の部分についてと言及されるとなるほどと・・。